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2023.12.29

NMNに期待される血流・持久力への影響

加齢に伴って毛細血管密度が減少すると血流が低下し、筋肉量や持久力にマイナスの影響を及ぼすと言われています。
筋肉量や持久力の低下は高齢者の罹患率や死亡率とも密接な関わりがあることから、低下した血流を回復させることがQOL向上や健康長寿への鍵を握っていると考えられます。

サーチュインと血流の関係

NAD⁺前駆体のニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)には、身体の細胞を若返らせる作用があるとして注目されている「サーチュイン遺伝子(SIRT1~SIRT7)」を活性化させる働きがあり、抗老化・長寿効果が期待されています。
特にSIRT1は毛細血管密度の増加を促進し、筋肉量や持久力を向上させると報告されています。また、ニンニク・ニラ・ネギなどに豊富に含まれる硫黄化合物を摂取した際に発生する硫化水素(H₂S)にも、SIRT1を介して虚血再灌流障害などを改善する働きがあることが分かっています。しかし、SIRT1の活性低下が、加齢による血流や筋肉量、持久力低下の直接的な原因であるかどうかは不明なままでした。

そこで2018年、NMNを投与してSIRT1を活性化させた高齢マウスと、NMNを投与しない高齢マウスの四頭筋組織を観察し、毛細血管密度と筋繊維、持久力を比較する研究が行われました。

NMNの投与による血流・持久力への影響

【実験の概要】

この研究は、加齢に伴って低下した血流や持久力がNMNの投与により改善されるのか否かを検証するために実施したものです。

研究では、NMNを投与した20ヶ月齢のマウス(NMN)の四頭筋組織を観察し、NMNを投与していない同月齢のマウス(Vehicle)と比較しました。CD31(緑)、Laminin(赤)を可視化することにより、それぞれの毛細血管、筋繊維を検出する方法を採用しました。また、NMNを投与した20ヶ月齢のマウス(NMN, 青)を強制的に走らせ、走れなくなるまでの走行時間(Time run to exhaustion)と走行距離(Distance run to exhaustion)を測定し、NMNを投与していないマウス(Vehicle, 白)を比較しました。

※試験は条件の異なる運動強度(Low intensity test: 低強度、High intensity test: 高強度)で実施。

【実験から得られた結果】

■NMNによる血流の改善
下記の図は、同じ筋繊維数(赤)あたりの毛細血管(緑)を可視化したもの。

下記のグラフは筋繊維に対する毛細血管の量を数値化したものです。NMNを摂取したマウスの毛細血管密度は増加していることが分かり、NMNは老化による血流の低下を回復させると解釈できます。

■NMNによる持久力への影響

NMNの摂取によりマウスの走行時間、走行距離は増加しており、NMNは老化による持久力の低下を回復させると解釈でます。

※図は論文原文より改題


心身ともにアクティブな毎日を

上記の実験結果は、ヒトにおいてもNMNの摂取が加齢による血流低下を回復させるとともに、筋肉量や持久力を向上させる効果が期待できることを示しています。NMNはヒトをはじめ、あらゆる生物の細胞内に元々存在する成分ですが、年齢と共に生産量が減少していきます。

そして、NMN摂取における血流・持久力改善効果は、運動や、虚血再灌流障害などを改善する働きがあるH₂Sの摂取によってもさらに増強すると言われています。しかし、運動をするためにはそもそも筋力や持久力が必要であり、H₂Sには毒性や副作用もあると言われています。
以上のことから、特に高齢者はサプリや点滴などでNMNを効率的に摂取し、まずは身体の基盤をつくることが重要です。

筋肉量、持久力を向上させれば心身ともにアクティブになり、行動範囲も拡がります。もちろん、高齢者が悩まされがちなフレイルの予防にも効果的です。
ぜひ血流・持久力を維持し、イキイキとした健康的な毎日を手に入れましょう!

【参考】 参考論文:【Impairment of an Endothelial NAD⁺-H2S Signaling Network Is a Reversible Cause of Vascular Aging】
直訳:血管内皮NAD⁺-H2Sシグナルネットワークの障害は、血管の老化の可逆的原因である
雑誌名・巻号/Cell. 2018 Mar 22;173(1):74-89.e20.
論文URLはこちら(PubMed)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29570999/

この記事の監修者 / Supervisor
檜山 和寛
東京銀座ウェルネス&エイジングクリニック 院長

檜山 和寛 Kazuhiro Hiyama

医師・薬剤師のダブルライセンスを保有。日米の医療現場で研鑽を積み、消化器外科部長などを歴任。現在は医学と薬学の深い知見に基づき、細胞レベルでのエイジングケアや予防医療を提供しています。

略歴・資格の詳細を開く

略歴

  • 2008年:東京大学薬学部 薬学科 卒業
  • 2013年:筑波大学医学群 医学類 卒業
  • 2015年:米国にて診療(ECFMG certification取得)
  • 2019年:新松田会愛宕病院 消化器外科部長(がん外来および外科診療立ち上げ)
  • 2019年:カンボジア王国 International University, Department of Surgery

主な保有資格・認定

  • 日本国医師免許・日本国薬剤師免許
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • 米国医師臨床資格(ECFMG certification)、USMLE Step 3
  • カンボジア王国医師免許
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本記事は研究背景や考え方を紹介するものであり、特定の効果・効能を示すものではありません。
治療や使用については、必ず医師にご相談ください。

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