東京銀座ウェルネス&エイジングクリニック

MENU

コラム

ホームコラムサーチュイン不足による歯周病への影響

2023.12.08

サーチュイン不足による歯周病への影響

歯周病は、歯と歯肉(歯ぐき)の隙間に侵入した歯周病菌が繁殖することで、歯を支えている歯周組織に炎症が起こり(歯肉炎)、歯周組織が溶けて壊れてしまう(歯周炎)へと症状が進行する細菌感染症です。

歯周病の最大の原因は、歯垢(プラーク)です。不十分なセルフケアなどにより歯垢 が増殖すると歯周病に発展します。そして、歯周病の原因の1つには加齢もあげられます。厳密に言えば、加齢により歯茎の退縮、歯を支える骨の量の減少などによって歯周病菌が繁殖しやすい口腔環境になり、歯周病の発症のリスクが上がるのです。加齢に伴う歯周病は、治癒に時間を要することも分かっており、高齢でも若々しく健康な歯や口腔環境をキープして歯周病を進行させないことが重要となります。

サーチュインと歯周病は関係する?

サーチュイン遺伝子には、サーチュイン1(SIRT1)からサーチュイン7(SIRT7)までの7種類があり、サーチュイン蛋白質はNAD⁺依存性脱アセチル化酵素として働きます。特に歯周病と深い関係があると考えられているのが、ミトコンドリアに存在するサーチュイン3(以下SIRT3)です。

2021年には、アメリカ国立衛生研究所により、SIRT3不足の高齢マウスが、ほかの条件下のマウスに比べて歯周病を悪化させるスピードが早いことが報告されました。


Sirtuin 3の不足と加齢に関連する歯周病の関係

【実験の概要】
この研究は、SIRT3が加齢性歯周病に及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにすることを目的としています。そのため、SIRT3遺伝子が失われたマウス(KO)を人為的に作成し、通常のマウス(WT)と比較するという方法を採用しました。実験は若齢期(Young)と老齢期(Aged)で行なっているので、WT-Young、KO-Young、WT-Aged、KO-Agedの4群での比較解析をしていることになります。

【実験から得られた結果】
解析の結果、WT-Agedマウスの歯槽骨ではWT-Youngマウスの歯槽骨と比べてSIRT3が減少しており、加齢によってSIRT3の働きが低下することが判明しました。

また、KO-Agedマウスの歯槽骨では、骨の分解を表す測定値が4群の中で最も高く、実際に歯槽骨が減少しているという結果が得られました。
この結果から、加齢性歯周病における歯槽骨の減少は、SIRT3の働きの低下が新陳代謝における骨の破壊と形成のバランスを崩壊させ、骨を分解する方向に傾けさせるというメカニズムによる可能性が示されました。 さらに、歯肉組織においても、SIRT3の働きの低下に伴ってミトコンドリアの機能が低下し、活性酸素によるダメージが大きくなっていることがわかりました。このこともSIRT3の働きの低下が加齢性歯周病の進行に強く影響していることを予測させます。


口腔内の健康から、全身の健康へ

上記実験のメカニズムをヒトに応用すると、ヒトもSIRT3を活性化させれば、加齢が原因の歯周病を予防できる可能性があると考えられます。そのエビデンスを確立するべく、現在も研究が進められています。

そして、SIRT3を含むサーチュイン遺伝子の活性化に寄与するのが、身体の組織内にあるNAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)です。しかしNAD⁺は年齢と共に減少することが分かっています。体内のNAD⁺を回復・増加させるには、運動やカロリー制限などの方法がありますが、体力的・精神的なストレスは否めません。そこで注目を浴びているのが、NAD⁺の前駆体であり、次世代エイジングケアの新常識「NMN」の摂取です。

NMNもNAD⁺と同様にあらゆる生物の細胞内に存在する成分で、年齢と共に生産量が減少していきます。食品などからもNMNを摂取できるものの、その量はごくわずかなため、サプリや点滴で摂取するのが効率的かつ一般的です。

歯・口腔の健康は、身体全体の健康やQOLの向上にも直結します。NMNを補って歯周病を予防し、全身の健康と若々しさにつなげましょう!

【参考】
参考論文:【Sirtuin 3 deficiency exacerbates age-related periodontal disease】
     直訳:Sirtuin 3の不足は加齢に関連する歯周病を悪化させます。
雑誌名・巻号/J Periodontal Res. 2021 Dec;56(6):1163-1173
論文原文はこちら(PubMed)

この記事の監修者 / Supervisor
檜山 和寛
東京銀座ウェルネス&エイジングクリニック 院長

檜山 和寛 Kazuhiro Hiyama

医師・薬剤師のダブルライセンスを保有。日米の医療現場で研鑽を積み、消化器外科部長などを歴任。現在は医学と薬学の深い知見に基づき、細胞レベルでのエイジングケアや予防医療を提供しています。

略歴・資格の詳細を開く

略歴

  • 2008年:東京大学薬学部 薬学科 卒業
  • 2013年:筑波大学医学群 医学類 卒業
  • 2015年:米国にて診療(ECFMG certification取得)
  • 2019年:新松田会愛宕病院 消化器外科部長(がん外来および外科診療立ち上げ)
  • 2019年:カンボジア王国 International University, Department of Surgery

主な保有資格・認定

  • 日本国医師免許・日本国薬剤師免許
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • 米国医師臨床資格(ECFMG certification)、USMLE Step 3
  • カンボジア王国医師免許
詳しいプロフィールを見る

本記事は研究背景や考え方を紹介するものであり、特定の効果・効能を示すものではありません。
治療や使用については、必ず医師にご相談ください。

コラム一覧

診療予約はこちらから

当院は完全予約制となっております。
当日予約をご希望の方はお電話かSNSで
お問い合わせください。

Privacy Overview

当サイトでは、利用者の体験向上や分析のために Cookie を使用しています。Cookie の利用に同意いただける場合は「許可する」を選択してください。一部の Cookie は、サイトの安全性や基本機能を提供するために必要です。詳細は「設定」よりご確認いただけます。