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2026.03.02

サプリメントの吸収率とは?細胞内利用率を高める方法

バイオハッキングコラム

  • [pll_page_link id=”7260″ label=”第1回:バイオハッキングとは?データで健康管理する科学的アプローチ”]
  • [pll_page_link id=”7284″ label=”第2回:サプリメントが効かない理由|遺伝子と代謝の 個体差を解説”]

前回は、遺伝子や代謝能力には「個体差」があるというお話をしました。

今回は、その個体差が実際にどのように治療効果へ影響するのか、もう少し「現場」に近い視点でお話しします。

当院のコラムをご覧になっている皆様なら、成分を体内に届けるための「投与ルート( DDS )」の違いについては、すでにご存知かもしれません。

サプリメント(経口)、点滴(静脈注射)、そして点鼻(経鼻投与)。それぞれにメリットがあり、目的に応じて使い分けることが重要です。

しかし、ここで一つ、冷徹な医学的事実をお伝えしなければなりません。

それは、「最適なルートで成分を届けたからといって、必ずしも細胞がそれを使えているとは限らない」ということです。

今回は、多くの人が見落としている「 Delivery (配送)」と「 Utilization (利用)」の違いについて解説します。

「荷物」は玄関先に山積みになっていないか?

成分を身体に入れることを、宅配便に例えてみましょう。

経口摂取は、一般道路を使ってトラックで運ぶようなものです。渋滞(肝臓での代謝)に巻き込まれやすく、時間がかかります。

点滴や点鼻は、専用の高速道路やドローンを使って、目的地(血液中や脳)へダイレクトに届ける優れた手段です。

確かに、点滴や点鼻を使えば、荷物( NMN などの成分)は「家の前(細胞の近く)」まで、より効率的に届けられると考えられています。しかし、バイオハッキングにおいて重要なのは、その荷物が「家の中(細胞内)」に入り、「開封・使用( NAD⁺ へ変換)」されたかどうかです。

実は、どれだけ大量に荷物を届けても、受取人(細胞の膜輸送体や酵素)が不在だったり、玄関のドア(受容体)が開かなかったりすれば、荷物は玄関先に山積みにされ、いずれ雨ざらし(排泄・劣化)になってしまいます。

「血中濃度」が高い=「効いている」ではない

医療機関ではよく「血中濃度」を測定します。

確かに血中濃度は重要な指標ですが、それはあくまで「血液という道路に、どれだけトラックが走っているか」を示しているに過ぎません。

本当に知りたいのは、「組織内濃度(細胞の中に入ったか)」であり、さらに言えば「代謝活性(エネルギーに変わったか)」です。

例えば、点滴で血中濃度を一気に上げたとします。

代謝活性が高い人の細胞は、それをスポンジのように吸収し、エネルギーに変える傾向があると考えられています。

一方、代謝の回路が十分に機能していない場合、栄養素が細胞内で利用されにくい可能性があることが、研究で示唆されています。

これが、「良い治療を受けているのに、体感が追いついてこない」という現象の正体の一つです。

「届いた後」を追跡する技術

つまり、真のバイオハッキングを目指すのであれば、「点鼻だから安心」「点滴だから最強」と思考停止するのではなく、「その先」を疑う視点が必要です。

これまでは、この「細胞の中の出来事」はブラックボックス(未知の領域)でした。

しかし、最新の科学は、この見えなかったプロセスすらも数値化しようとしています。


この記事で整理できたこと

おさらい

今回は、 DDS (送達システム)のさらに奥にある、「細胞内での利用効率」という壁について解説しました。

「良いものを入れているはずなのに … 」と感じる場合、問題は配送ルートではなく、受け取り側の「代謝システム」にあるかもしれません。

そして、この代謝システムを語る上で避けて通れないのが、エネルギー産生の裏で必ず発生する「副産物」の処理問題です。

次回は、エンジンの回転数(活性)を上げるときに必ずケアしなければならない「メチル化( Methylation )」という体内システムについて解説していきます。

この記事の監修者 / Supervisor
檜山 和寛
東京銀座ウェルネス&エイジングクリニック 院長

檜山 和寛 Kazuhiro Hiyama

医師・薬剤師のダブルライセンスを保有。日米の医療現場で研鑽を積み、消化器外科部長などを歴任。現在は医学と薬学の深い知見に基づき、細胞レベルでのエイジングケアや予防医療を提供しています。

略歴・資格の詳細を開く

略歴

  • 2008年:東京大学薬学部 薬学科 卒業
  • 2013年:筑波大学医学群 医学類 卒業
  • 2015年:米国にて診療(ECFMG certification取得)
  • 2019年:新松田会愛宕病院 消化器外科部長(がん外来および外科診療立ち上げ)
  • 2019年:カンボジア王国 International University, Department of Surgery

主な保有資格・認定

  • 日本国医師免許・日本国薬剤師免許
  • 日本外科学会 外科専門医
  • 日本消化器外科学会 消化器外科専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医
  • 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
  • 米国医師臨床資格(ECFMG certification)、USMLE Step 3
  • カンボジア王国医師免許
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本記事は研究背景や考え方を紹介するものであり、特定の効果・効能を示すものではありません。
治療や使用については、必ず医師にご相談ください。

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